猪口 邦子 公式サイト

参議院議員・日本学術会議会員(政治学) 猪口 邦子

猪口邦子の考え一覧

  •  私には、二つの訴えたいことがあります。一つは、「解決力がある政治」という考えです。いま日本に必要なのは、解決力です。解決力のない政治では、国民の努力も民間の創意工夫も報われません。時代を改革から解決へと一歩進めなければなりません。改革は手段、解決こそ、政治の使命です。安全保障、景気問題、年金・医療・介護、農林漁業など、解決しなければならない問題が今の日本には山積しています。いまこそ解決力が必要です。私、猪口邦子は問題解決を着実に進めます。
     そして、私のもう一つの主張は、「千葉は宝」というものです。グローバル化する時代だからこそ、身近なことを大切にしていかなければなりません。自分の地域、友達、家族、学校など。実は、宝は身近なところにたくさんあります。そんな意味を「千葉は宝」ということばに込めました。猪口邦子は千葉のため、日本のために全力で働きます。
  • 政策に関する基本的考え
    1. 日本は小資源国でありながら、世界2位の経済国家となったが、福祉など社会政策は遅れ、経済水準に相応しい社会発展を推進することが急務である。
    2. 日本は小資源国なので、引き続き経済政策を重視し、景気回復への工夫を講じる必要がある。また経済発展の果実を、福祉、教育、医療、環境保全などに鮮明に活かす政策手法が必要である。
    3. 冷戦後の国際平和は未だ不確かであり、日米安保条約は日本の平和の基層を成す。またテロなど平和への脅威に対し、諸国家は団結して武器の不拡散を徹底し、紛争調停と軍縮外交を推進する必要がある。
    4. 21世紀人間社会では、効率のみならずバランスが大切であり、農林漁業と食育の推進による食料自給率の改善を目指す。
  • 推進する主要な政策
    1. 少子化対策を総合的に推進する。保育園など地域の保育サービスの拡充、幼児教育の無償化、小学生の放課後支援の推進、病児保育と特別支援の強化、若年世代の雇用の安定化、産科小児科の拡充を進める。
    2. 不景気や貧困により学業断念に追い込まれる学生をゼロにするため、わが国初の公的な給付型奨学金制度を創設する。
    3. 食育を推進する。食育の観点からも農林漁業を推進し、世界一の健康長寿を次世代にも可能にし、また食料安全保障を強化する。
    4. 高齢者や退職者の地域での活躍を促進する。医療環境や地域介護の充実を図りつつ、シルバー世代について積極的な人間観を推進していく。
    5. 国際会議やイベントの日本への誘致を促進する。地域経済への効果は大きく、日本への親近感や平和の促進にもつながる。そのためには成田国際空港のハブ機能強化、港湾、鉄道、道路、宿泊施設、会場、観光資源、誘致交渉力などを総合的に強化する。
    6. 歩道の建設を推進する。高齢者や子どもなど歩行者の安全確保は車社会の基本であり、また歩道建設は人のための21世紀型公共事業として地域経済を潤す。
    7. 千葉県生まれの軍縮大使としての経験を活かし、核軍縮・不拡散外交や調停外交力の強化を目指す。
    8. 大学教授としての経験を活かし、日本の高等教育機関への投資を強化し、国際競争に伍して雄飛する日本の次世代を育てる。
  • 千葉は宝―――千葉の責任

    千葉県は総合力とバランスのよさに恵まれている。東京と神奈川を合わせたより大きい県土は、農地、森林、工業や宅地が三分の一ずつであり、農水産出額は全国の2〜3位の水準である。食料自給率も高く、地産地消の食生活が可能である。暖流が洗う海岸線は長く、内陸の自然は深い。資源エネルギーに恵まれない国にあって千葉の天然ガス産出量は日本一である。アジア有数のハブ国際空港を有し、世界に直結する経済体でもある。千葉の広さを活かし、近年では研究・教育機関も増えている。各種のスポーツも盛んであり、暮らしやすさを反映してか、人口の大幅な社会増が見られる。私の生まれ故郷千葉は、実に日本の宝であり、千葉から日が昇るように千葉からこそ景気回復をさせなければならない。そして21世紀日本の発展の方向性を千葉が示すことにより、日本社会全般の発展に寄与する責任が千葉にはある。
  • 【政策に一言】普天間飛行場移設はなぜ失敗したか

    米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設の混迷は、専門家としても沖縄に思いを寄せる者としても不安で仕方がありません。初期に、米空軍嘉手納基地に統合しようとしたことがボタンの掛け違いで、同盟国間の信頼の灯が瞬時に半減。戦略論の基礎として、滑走路はバックアップが必要なので、万が一破壊されたときに飛び立つ代替がなくなる嘉手納統合はありえず、その集約は戦略的悲劇の導火線になりかねません。バックアップのない主要な滑走路は有事には最初の標的になる、というのが戦略的思考と思います。普天間の滑走路を残し、普段は別の用途にとの案の数々も、演習不可能となるのでバックアップ機能には不適切。そもそも万が一のとき、人口密集地にある普天間飛行場を使うのは反人道的との思いこそ、議論の出発点のはずです。

    普天間には米海兵隊航空団司令部飛行隊が駐留しています。「空軍と海兵隊の運用を一つにすることはできず、運用上機能しない」と早くから米政府が言っていることの意味を知る必要があります。海兵隊は有事に直接上陸して平面制圧をしますが、そのとき少数の上陸精鋭を空から守るいわゆるエア・カバーが必要になります。それを提供するのが航空団飛行隊であり、伝統的な絨毯爆撃を行う空軍機能と著しく異なります。航空団の任務が失敗したり、到着が遅いと地上に進攻している部隊が全滅しかねません。空軍は飛行時間がかかり、規模の小さいエアーカバーには不向きです。

    一般に、諸国家には陸海空の三軍しかなく、第四軍である海兵隊については常識的な理解がないことがあります。わが国には、陸自、海自、空自があります。同盟国としては、空軍と海兵隊航空団飛行隊との戦略的差異に敬意と敏感性を抱いて交渉のテーブルにつく必要があります。海兵隊航空団の装備が急速に拡充するのは2001年9月11日アルカイダの同時多発テロからです。敵地の奥深くに乗り込む海兵隊の数百メートル先を飛びながらピンポイントのエア・カバーを与える機能が重視されるなか、空軍との反目もかつてあったことなど専門家の知るエピソードです。そのすべてを勘案して嘉手納統合は日本からは言い出さないのが礼儀でした。

    同時期に明るみに出た過去情報により、沖縄の今後の非核三原則の徹底が課題となります。そのタイミングでの通常戦力の最精鋭を日本から遠ざけるグアム移転案。これは米側が一気に決める危険性さえありますが、日本としては戦略的計算の失敗となります。民主党政府には、米国との信頼を回復し、戦略バランスを失した結末にならないよう注意する責務が、全国民に対してあります。

    県外移転案はいくつもありますが、その周辺で最精鋭部隊に相応しい演習が可能かということと一対の機能を検討することが、戦略論の基本です。念のため。

    沖縄には沖縄平和賞という日本の誇る全国的な平和賞があります。沖縄の市民の思いが込められたその賞の願いは、沖縄に基地がなくなるような、完全平和のアジア太平洋を実現することです。そしてそれを可能にする人々を日本が輩出することです。その偉大なる日を目指して、局面ごとの平和を崩さない確実性の確保こそ、安全保障の要諦です。

    普天間飛行場の移設先としては、日米が合意した米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)が唯一代替施設として機能すると、米側は伝えています。この合意は沖縄市民の意見を長年にわたって聞き、同盟国同士で合意したものでした。どのような外交合意も、ガラス細工のようなぎりぎりの合意です。それは軍縮大使であった私としては忘れ得ない現場での実感です。外交合意を取りまとめた人は、不十分!との非難を全方位から受けます。その批判に耐え、ぎりぎりの合意を作りぬくこと、それが外交による平和の本質です。ガラス細工は壊すのは一瞬ですが、辺野古沖原案も外交職人の匠と地元市民の洞察により可能となったものです。その合意を可能にしたすべて関係者に、深い尊敬を私は抱きます。
  • 核軍縮のObama-Hatoyamaラインを築け!

    2010年という年は、後世の史家が、核軍縮による21世紀平和の基層が築かれた、と記せるような年になるでしょうか。日本は、それを期待するより、主導するエンジンでなければなりません。状況に乗っていく国ではなく、状況を生み出す国。核軍縮の分野においてこそ、日本は世界からそう期待されているのです。

    核軍縮外交の役割は核兵器保有国にあると思われがちですが、最強の政治的組み合わせは、使用国と被害国、つまり日米にほかなりません。世界にはただ一つの使用国があり、ただ一つの被害国があります。この2者が執拗で周到な「核なき世界」への共同戦線を張れば、軍拡の世紀から軍縮外交の世紀へと転じる機運が広がるでしょう。平和のための防衛線。マジノ線ならず、オバマ=ハトヤマ・ライン。鳩山由紀夫総理は核軍縮においてこそ、後世に名を残す仕事をすべきであり、唯一の被爆である日本では、そもそも政権とは、そのようなミッション(使命)のために取るものではないのでしょうか。鳩山総理は強運で、2010年は核軍縮関連日程満載の年。日本の総理として世界で主導権をつかみ取るべきです。

    オバマ大統領は政権発足直後、東西冷戦の苦悩を象徴したチェコのプラハにて「核なき世界」演説を行い、米首脳として初めて、核兵器使用国の道義的責任を明言するイニシアティブを示しました。それから一年後の今年4月、オバマ氏は自ら、首都ワシントンにて「核安全保障サミット」を主催し、核テロ防止や核技術流出防止のための多国間の政治的意思の強化を図る予定です。続いて5月には核拡散防止条約(NPT)の5年に一度の締約国による運用検討会議がニューヨークであります。この条約の6条には核兵器国を保有する国が核軍縮を誠実に交渉することを求めていて、不十分であれば非保有国の反発で5年前のように失敗するかもしれません。そこでオバマ大統領は昨年9月の国連安全保障理事会にて、核軍縮・不拡散をテーマに初の首脳級特別会合を自ら議長となって開催し、「核兵器のない世界」への米国提案決議の、核保有5大国含む全会一致採択を実現しました。同時に、最大保有国米露の二国間交渉において、START(第一次戦略兵器削減条約)の後継条約を順調に作り上げつつあります。そのような実績によりオバマ氏は、12月にノーベル平和賞受賞。今後はさらにCTBT(包括的核実験禁止条約)加盟に向け米議会と激しい政治戦を繰り広げていくでしょう。米国はジュネーブでも、次の核軍縮条約となるFMCT(カットオフ条約=兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の交渉入りのための政治駆け引きを積極展開し、ジュネーブ軍縮会議の1月からの会期で動きを作っていくでしょう。

    対となる、被害国の首脳の活動と発信を顕在化させなければなりません。被害国が「声を上げる」 “raise the voice”運動は、いまや多国間軍縮外交において高く評価される手法です。対人地雷、小型武器、クラスター爆弾の被害者がその手法を通じて及び腰の政府交渉に光をもたらしてきた実績を想起し、核兵器の被害国もraise the voiceを展開することを世界は期待しています。Obama-Hatoyamaラインはフレッシュな核軍縮への機運を作ることになるでしょう。使用国の廃絶への決意がノーベル平和賞なら、被害国の首脳外交も、、の国際世論を喚起する志をどうぞ。

    他方で、最大野党自民党の谷垣禎一総裁も、核軍縮の大儀を掲げて積極攻勢に出るべきです。昨年を通じて、国際世論に強い働きかけをした日豪主導の核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)の日本側共同座長は自民党参議院議員川口順子元外相ですので、党内に立法府きっての専門家がいることなども活かし、自民党こそ核軍縮の旗手、と張り合っていただきたいのです。二大政党制時代に相応しい推進力競争の相乗効果を、国民は誇りをもって受け止めるでしょう。
  • なぜ、自民党は下野したのか/ どうしたら政権を取り戻せるか

    なぜ自民党が下野したかの答えは、なぜ自民党は1955年の保守合同以来、短期間を除き、下野せずに済んだかの答えなかにこそありそうです。政治は、戦争がそうであるように、偶然の事象や司令塔の個々人のことなどに影響されますが、大局的な構図こそ、不可避的にその勝敗を決するようにも思えます。

    1955年の世界は、米ソ軍事対立の構造が、朝鮮戦争などアジアでの熱戦化へと展開した時代。自民党は、激烈な冷戦期の国際環境のなかで、日本国民に平和をもたらすことをその根本使命として発足。日米安全保障条約の改定ほか、細心の注意と妥協をもって、この国が冷戦の火の粉を被らないよう腐心したのです。経済復興と高度成長も、平和の下支えとしての機能があったからこそ、自由市場への政治・官僚主導の影響を国民は許容したのでしょう。自民党のみが確実な平和を国民にもたらす。国民のこの認識が、自民党が与党であり続けることができた基本です。

    今年は冷戦終結の鐘を鳴らした、ベルリンの壁の崩壊20周年です。冷戦が終結すると、確実な平和は自民党以外には無理、という認識は薄らぎました。平和はいつの時代でも難題ですが、冷戦後の世界では経済のグローバル化が進み、相互依存の拡大は近代史上初の大国間平和をもたらしました。その国際環境の変容のなかで、自民党が考えるべきことは、平和に次いで、自民党のみが国民にもたらす大事なことは何か、ということです。答えは、経済で勝ちを取る。そのためには二つの不可分な理論軸が必要です。

    経済のグローバル化とは、大国間平和の世界での、大国間の闘いのベクトルを意味します。自民党が冷戦後も与党であり続けるためには、その闘いに勝ちを呼込むのは自民党であることを鮮明にする必要があったのです。経済に勝ちをもたらすには、企業や働く人に自由と収益が必要です。政府は小さく、民間に自由を。

    税制と規制改革で、日本の資本が世界や地域で雄飛することを確実に可能にするのは自民党。これが第一の理論軸。

    同時に、働く1人一人が世界や地域で雄飛できるよう、教育を小中学校から高等教育まで強化するのは自民党、と言い切る教育投資が必要です。経済の競争激化は、多くの人に必然的に不本意な結果をもたらすので、もはや敗北や失敗は一時的なことと考え保護しつつも再起のための補強型社会保障が望まれます。ピットイン型社会保障のイメージ。歩み続ける自信と再装備を可能にする新社会保障。また未就職者や退職者を地域発展の基盤的人材とするなど、すべての人の輝きを生かす社会保障型コミュニティーがもう一つの理論軸です。

    国民に、自民党のみが確実にもたらす大事なこと。それを示す日、自民党が政権を取り戻す重い扉を、ギーと開ける日になるでしょう。