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参議院議員・日本学術会議会員(政治学) 猪口 邦子

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猪口邦子メルマガ『クニコマガジン』kunikomagazine 2009/12/28 Vol. 2.

【第2号の目次]
  1. 小沢氏はなぜ選挙に勝ったのか/ その二大政党制の落とし穴
  2. 【政策に一言】普天間飛行場移設はなぜ失敗したか
  3. 【邦子の新整理法】〜リボンファイル〜
  4. 【年末年始取材】『週刊新潮』のグラビア!
  5. 【猪口邦子公式サイトから】MICE推進協議会
  6. 【シェパーズパイを作ってみませんか】

1. 小沢氏はなぜ選挙に勝ったのか/ その二大政党制の落とし穴

今年の10大ニュースの筆頭はどこも「政権交代」。これを可能にしたのは小沢一郎代議士の選挙戦略。その解明を年の瀬にやらなければなりません。

4年前の2005年の小泉純一郎総理の郵政民営化を掲げた総選挙にて、民主党は与党に三分の二多数を許して大敗。今年の民主党の歴史的な勝利の源泉は、きわめて説明しやすく、最大の敗者は、最大の勝者に学んだ結果にほかなりません。敗者が勝者の最も熱心な学習者になったことが、今年のメイクドラマの鍵です。

小泉総理の最強の研究者は小沢氏であり、そこに小沢氏の覚悟と鋭さがあります。小沢氏はまず、小泉総理の女性起用戦法を研究し、それを超越します。政治におけるガーシェンクロン効果(後発経済が技術革新を圧縮して先発国を追い抜く)です。民主党に女性政治家重視の伝統があったとは言えませんが、小沢氏は一切の伝統と決別し、勝者のみから学び、女性候補を選び、鍛え、前面に立たせ、勝利させていきます。模倣しなかったのは、そこから女性閣僚を誕生させることぐらいでした。

ついでに閣僚人事ですが、9月に行う閣僚人事の要は財務大臣です。3ヶ月以内に政府予算案をまとめなければならず、初入閣大臣や個性的な大臣のいる内閣にしつつも、半格上の重鎮タイプの財務大臣をおくことで、分担管理原則の内閣制でも財務大臣の重石が機能して予算案がまとまるように小泉内閣でもしていました。小泉総理の成功の礎を築いたのは塩川正十郎財務大臣です。小沢氏も年長の藤井裕久代議士を重視し、そもそも12月政府予算案がまとまらないのでは、という野党の期待的観測を打消しました。

選挙戦略としては、小沢氏は小泉氏から、スローガンとしてのワンフレーズと、政策的一点突破手法を学びました。小泉氏のワンフレーズは、「官から民へ」です。小沢氏のは「政権交代」です。小泉氏の政策的一点突破手法は「郵政民営化」です。小沢氏のは「子ども手当」です。このような手法は以前の民主党にはありませんでした。自民党が敗北したのは、自民党に大勝をもたらした総裁の戦法を、熱心にフォロー(twitter流に)する人が内部にではなく相手側陣営にこそいたからです。本当のチルドレンはだれだったのでしょう?

因みに「一点突破、全面展開」戦法は毛沢東の革命手法として有名です。そして、小沢氏の川上から川下への辻説法も毛沢東の手法として有名です。毛沢東は繁栄から最も遠方の農村の果てにて、speak bitterness運動、つまり、不満を語れ!運動を展開し、勢いをつけて川下の沿岸部に向かうのでした。小泉手法と毛沢東手法のかけ合わせなら、アジア最強の選挙結果ともなるでしょう。そこにも、最強者のみから学ぶ小沢氏の覚悟が見え隠れします。

さて、そのような選挙を経て二大政党を目指す小沢氏の歴史的計画にも、深い落とし穴があります。それは国民全体が被る不幸かもしれず、説明しなければなりません。引き金は、自民党ではなく、民主党が引いたのですが、引かれた以上、自民党もいずれ引くことになりかねません。それは、相手が勝利した選挙の一点突破の政策を、政権交代後に壊滅させるという政治手法です。小泉総理の掲げた郵政民営化路線を、政権交代後、民主党は連立仲間が破壊していく勢いを容認し、12月4日には日本郵政グループ3社の株式売却凍結法をスピード成立させました。小沢流二大政党制がそのような手法を意味するなら、今後、政権交代ごとに、歴史的民意を得た政策が次々と破壊されることになります。子ども手当ては自民党復権後も継続されるのでしょうか?因みに他の二大政党制の先進国で、内政の主要政策の根幹制度が政権交代ごとに変わる政治手法は聞いたことがありません。これでは各時代の民意を競った最重要制度が政権交代ごとに崩壊することになり、国民はつかの間の制度に振り回されます。

成熟した二大政党制に移行するには、この悪循環を絶たなければなりません。歴史的評価を得た政策について、やむを得ない修正を加味することはあってもその根幹を壊滅させる手法は、国民社会の発展に資することはありません。また選挙戦略とはいえ、二大政党制下のマニフェストには、自らが勝利して導入した後、政権交代の時期があっても、末永く財政的に持続可能として認められる政策を掲げることが必要です。それが国民本位の本当の意味です。♪

2. 【政策に一言】普天間飛行場移設はなぜ失敗したか

米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設の混迷は、専門家としても沖縄に思いを寄せる者としても不安で仕方がありません。初期に、米空軍嘉手納基地に統合しようとしたことがボタンの掛け違いで、同盟国間の信頼の灯が瞬時に半減。戦略論の基礎として、滑走路はバックアップが必要なので、万が一破壊されたときに飛び立つ代替がなくなる嘉手納統合はありえず、その集約は戦略的悲劇の導火線になりかねません。バックアップのない主要な滑走路は有事には最初の標的になる、というのが戦略的思考と思います。普天間の滑走路を残し、普段は別の用途にとの案の数々も、演習不可能となるのでバックアップ機能には不適切。そもそも万が一のとき、人口密集地にある普天間飛行場を使うのは反人道的との思いこそ、議論の出発点のはずです。

普天間には米海兵隊航空団司令部飛行隊が駐留しています。「空軍と海兵隊の運用を一つにすることはできず、運用上機能しない」と早くから米政府が言っていることの意味を知る必要があります。海兵隊は有事に直接上陸して平面制圧をしますが、そのとき少数の上陸精鋭を空から守るいわゆるエア・カバーが必要になります。それを提供するのが航空団飛行隊であり、伝統的な絨毯爆撃を行う空軍機能と著しく異なります。航空団の任務が失敗したり、到着が遅いと地上に進攻している部隊が全滅しかねません。空軍は飛行時間がかかり、規模の小さいエアーカバーには不向きです。

一般に、諸国家には陸海空の三軍しかなく、第四軍である海兵隊については常識的な理解がないことがあります。わが国には、陸自、海自、空自があります。同盟国としては、空軍と海兵隊航空団飛行隊との戦略的差異に敬意と敏感性を抱いて交渉のテーブルにつく必要があります。海兵隊航空団の装備が急速に拡充するのは2001年9月11日アルカイダの同時多発テロからです。敵地の奥深くに乗り込む海兵隊の数百メートル先を飛びながらピンポイントのエア・カバーを与える機能が重視されるなか、空軍との反目もかつてあったことなど専門家の知るエピソードです。そのすべてを勘案して嘉手納統合は日本からは言い出さないのが礼儀でした。

同時期に明るみに出た過去情報により、沖縄の今後の非核三原則の徹底が課題となります。そのタイミングでの通常戦力の最精鋭を日本から遠ざけるグアム移転案。これは米側が一気に決める危険性さえありますが、日本としては戦略的計算の失敗となります。民主党政府には、米国との信頼を回復し、戦略バランスを失した結末にならないよう注意する責務が、全国民に対してあります。

県外移転案はいくつもありますが、その周辺で最精鋭部隊に相応しい演習が可能かということと一対の機能を検討することが、戦略論の基本です。念のため。

沖縄には沖縄平和賞という日本の誇る全国的な平和賞があります。沖縄の市民の思いが込められたその賞の願いは、沖縄に基地がなくなるような、完全平和のアジア太平洋を実現することです。そしてそれを可能にする人々を日本が輩出することです。その偉大なる日を目指して、局面ごとの平和を崩さない確実性の確保こそ、安全保障の要諦です。

普天間飛行場の移設先としては、日米が合意した米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)が唯一代替施設として機能すると、米側は伝えています。この合意は沖縄市民の意見を長年にわたって聞き、同盟国同士で合意したものでした。どのような外交合意も、ガラス細工のようなぎりぎりの合意です。それは軍縮大使であった私としては忘れ得ない現場での実感です。外交合意を取りまとめた人は、不十分!との非難を全方位から受けます。その批判に耐え、ぎりぎりの合意を作りぬくこと、それが外交による平和の本質です。ガラス細工は壊すのは一瞬ですが、辺野古沖原案も外交職人の匠と地元市民の洞察により可能となったものです。その合意を可能にしたすべて関係者に、深い尊敬を私は抱きます。♪

3. 【邦子の新整理法】〜リボンファイル〜

クリスマスの贈物についている華やかなリボン、あ、それ捨てないで!年の瀬の机の上が片付く、魔法のリボンです!まず、軍縮ならず、紙縮をします。紙類は絶対量を縮小する。必要な情報の頁のみ保管し、簡単な情報ならパソコンに入れます。それでも残る山積みの紙類!ホルダーに整理する暇はないし、その文具を常備するのも面倒。そこで、まとまりごとに、リボンで結んでしまってはどうかしら?リボンの色や模様で記憶も鮮明になり、また引き出しやキャビネットにしまわないので目に情報が入りやすく、仕事にとりかかりやすい。リボンに小さなカードのタグを付けて案件やメモを書くのも便利。ビニールファイルは積み上げるとすべり落ちますが、リボンファイルは結び目を横に出せば、机の端に高く積み上げても安定します。安くてエコな新整理法!

ところでそれは地球でやること。知識を全て頭に入れて宇宙にいる日本の希望、野口聡一さん。21日早朝、日本人として初めて宇宙船を操縦できる地位についた野口宇宙飛行士は、ロシアの宇宙船ソユーズで、5ヶ月も滞在する国際宇宙ステーションへ。5ヵ月分の150本の赤いバラをリボンで束ねて出迎えたいと思いませんか。♪

4. 【年末年始取材】『週刊新潮』のグラビア!

いわゆる年末年始合併号。寅のイラストと黄色い背景に♪♪音符舞う週刊新潮新年特大号。冒頭カラーグラビアは正しくも高野山。弘法大師空海が伽藍を開創してから1200年の特集。続く、モノクロ見開きグラビアに登場は縁起がいいと思うのですが、支援者からは叱られそうな、美容院での髪の毛クルクル巻きの写真です。でも再発進を決意する私のどの言葉より、その写真は私の覚悟を語っている、との読者の声も。年の瀬の締め切り前に、私の思いを美容院で2時間も聞く記者さんと、座って動かない私を中腰で撮りつづけるカメラマンの覚悟もかなり。週刊誌のグラビアは、本人と記者と写真家の3者の覚悟の戦場であることがわかりました。

さて特集のタイトルは前門の寅、後門の狼。およそ人生、一難去ってまた一難。寅が口開ける行く手、後ずさりすれば牙剥いて構える狼。そんなときはどうする?故郷に帰って弘法大師様にお祈りするの。お正月は婚家の新潟市真言宗のお寺一族の暖かい心に飛び込みます。みなさまもどうぞよいお正月を。♪

5. 【猪口邦子公式サイトから】MICE推進協議会

2009/12/17(木)14時から国土交通省内にて第一回MICE推進協議会が開催され、JCCB(Japan Congress & Convention Bureau)会長として出席しました。日本商工会議所観光専門委員会須田寛委員長、社団法人日本ホテル協会中村裕会長等も。国際会議の概念を広げMICE(Meeting, Incentive, Convention, exhibition)を推進するなど誘致拡大のための検討を行いました。私は、来年予定されるAPECなど大規模会議については特別の入国審査のレーンを設けることや、参加者の家族や展示のブース設営者の入国ビザの配慮が必要であること、また、国際会議は総合ビジネスであるため、人材育成や評価を重視する戦略が肝要と論じました。21世紀の国際会議は展示会やメディア機能ともクロスオーバーしていきます。♪

6.【シェパーズパイShepherd’s Pieをつくりませんか】

主婦には忙しい季節ですが、街には祝祭的な雰囲気があるので、家庭でも華やぎあり、作り置きもできる簡単料理をどうぞ!羊飼いのパイなので、手の込んだパイ料理ではなくゆでジャガイモをつぶして使う質素なというニュアンス。でも風舞う荒野から戻った羊飼いがこの一品で温まり、栄養も補給できる完全食に近いもの。羊肉でなく、あいびきで大丈夫。ジャガイモを圧力鍋でゆで、湯をきり、バター、牛乳、塩、黒胡椒でマッシュポテトを作り蓋をしたまま保温。玉葱、人参、パセリの葉をみじん切りにしてバターで炒め、ひき肉(ガーリック、黒胡椒、塩)を加え、香りに白ワインかリキュールを少し。スープか水を少々。ケチャップと醤油を隠し味にウースターソースを控えめに使います。キャセロールの底半分に炒めた肉を敷き詰め、上にマッシュポテトをのせ、バターを薄くのせオーブンで15分、200度で焼きます。わが家ではさかさまに、マッシュポテトを下に敷き、上にひき肉を載せ、さらにシュレッドチーズをのせて焼くと好評。♪