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元内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画担当)・日本学術会議会員(政治学) 猪口 邦子

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2012/08/03

民主党政権下での日本経済の低迷を憂慮しています。『猪口邦子通信』7月号にて日本経済の問題をまとめてみましたので、メルマガでもお届けします。

〔2012年 日本経済はいま〕
貿易収支

自民党が2009年9月に下野したとき、貿易収支は当然ながら黒字。一定の黒字幅は貿易立国日本の長年の暗黙の決意であった。民主党政権となり、2011年には日本は構造的な貿易赤字国に転落。かつて第二次石油危機直後などに一時的に赤字になっても、自民党政権下では直ちに回復した。

対日投資

対日投資では、外資の日本への投資が減り、民主党政権下で2年連続して流出が流入を上回る純流出となった。また円高対策の遅れで日本企業が海外移転を余議なくされたこともあり、国内雇用情勢に負の影響が及んだ。円高で日本企業による海外企業買収など直接投資が活発になり、対外純資産は、自民党が秋に政権を譲った2009年に次ぐ過去2番目の水準に戻った。(因みに日本の対外純資産は21年連続世界1位。 2011年の2位は中国、3位はドイツ。)他方で、民主党政権下では対外負債は、2011年には5.5%増えるなど2年連続増加。過去最大の予算を賄うために、民主党政権下で海外の投資家に日本国債の保有が増えたため。

日本国債の格付け

世界の格付け大手3社すべてが、民主党政権下で日本国債の格下げを行った。直近では2012年5月、日本の政府債務残高が国内総生産(GDP)の約2.4倍になると予想したフィッチが、各社の従来からの判断であった上から4番目よりさらに低いシングルAプラスとした。因みにかつて1995年10月から2000年6月まで(橋本内閣、小渕内閣、森内閣を含む自民党政権与党時代)の日本国債は最上位のトリプルAの格付けがなされていた。日本の国債金利は現在は低位安定しているが、信認低下は、国債金利の上昇につながることがあり、利払費が増加して財政危機や金融機関の経営困難を引き起こす危険性がある。6月半ばにスペイン国債利回りが、国債信認の危険水域とされる7%台に上がったのは、格付けが3段階引き下げられたのがきっかけといわれる。

財政の現状

150兆円を超える国債発行額、また税収規模の2倍を上回る国債償還額など、日本の財政は先進国の中で最悪の状況。国債(市場向け)の償還額の税収対比が2倍に及ぶ先進国は、他にはない。また政府債務残高の名目GDP 等に対する比が200%を超えたことも、自民党政権下では一度もなく、日本史としても明治以来、第二次世界大戦末期以外にはない。民主党政権下では、新規発行債と政府の債務残高が急増している。

国民経済の諸側面

公共投資は復興関連需要などから堅調に推移。完全失業率は、改善がみられず横ばいの4.6%。(因みに小泉政権下で3%台。)消費者物価の前年比は概ね0%。金融環境は緩和の動きが2月以来続いているが、実体経済へのマネーサプライ増に必ずしもつながっていない。個人消費は増加基調。